春昼しゅんちゅう)” の例文
旧字:春晝
そして、殺すといい、殺してくれと叫んでいた男と女が、気だるい春昼しゅんちゅう納屋倉なやぐらに、蒸れ合うばかりな情炎の餓鬼となって苦悶した。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楚歌そか一身にあつまりて集合せる腕力の次第に迫るにもかかはらず眉宇びう一点の懸念けねんなく、いと晴々はればれしき面色おももちにて、かれ春昼しゅんちゅうせきたる時、無聊むりょうえざるものの如く、片膝を片膝にその片膝を、また片膝に
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
荒い格子には春昼しゅんちゅうの陽が、あざやかに黄色くあたっていた。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
春昼しゅんちゅう、酒はよくまわる。又太郎もつよいたちだが、佐々木にも大酒の風がある。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あぶのかすかな羽うなりも鼓膜こまくにひびくような春昼しゅんちゅうである。七郎は、跫音あしおとをぬすませて、童子のうしろへ近づいた。——近づくにつれて、その童子のくちびるから洩れる念仏の低唱が耳にはいった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
春昼しゅんちゅうふたつの人出ひとで
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)