旗印はたじるし)” の例文
といわぬばかり、無数の旌旗せいきを植えならべて、陣々、鮮やかにその旗印はたじるしをさえ敵の目に見せつけて来たのであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
權力を得よう、このみじめな自分自身の爲めに力と名聲を得ようといふ野心やしんから、吾主わがしゆ、神の王國をひろめようと云ふ野心を形造かたちづくりました。十字架の旗印はたじるしの勝利を得る爲めに。
そのただ一つの物から、再起さいき旗印はたじるしを引きぬかれて、それにかわ徳川家とくがわけ指物さしものが立ってからすでに半年。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神が獻物さゝげものの半分で滿足なさるとあなたは思ふのですか。神は、不具かたはの犧牲をお受けれになるでせうか。僕が云ひ張るのは神さまの爲めです。僕は、神の旗印はたじるしの下に、あなたを召集するのだ。
天子てんしたけのふもとから、南すそのへかけて、まんまんと陣取ったるが本陣と思われまする。オオ、しかも、その旗印はたじるしは、徳川方とくがわがた譜代ふだい天野あまの内藤ないとう加賀爪かがづめ亀井かめい高力こうりきなどの面々
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして後日ごじつ、ふたたび小太郎山に武田菱たけだびし旗印はたじるしを見たならば、またその時は、おどしだにへきておくれ、そして、なかよく刺繍ししゅうをしたり染物そめものをしておくれ。わたしは、それを知らせにきたのです
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)