にひ)” の例文
八尺やさかなす桶のここだく、にひしぼりしたたる袋、庭広に干しもつらぬと、咽喉太のどぶとの老いしかけろも、かうかうとうちふる鶏冠とさか、尾長鳥垂り尾のおごり、七妻ななづまをし引き連れ、七十羽ななそはの雛を引き具し
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
やがて、僕は身體の向きを變へて北方を眺めた。青い。何もかも青い。神津かうづ島、式根しきね島、にひ島が間を置いてつらなつてゐる。その彼方には伊豆半島あたりなんだらうが、紫紺色に煙つてゐて何も見えない。
南方 (旧字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
……ふる草に、にひ草まじり、ひば、生ふるかに——だな。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
かのにひやはら被衣かつぎるそれならねど、——
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
鳰鳥にほどりの葛飾早稲のにひしぼりころもに換へむいざや酔はしてな
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
朝光あさかげに牝牛曳き出だししぼる乳の雑草あらくさをうつにひほとばしり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鳰鳥にほどりの葛飾早稲のにひしぼりかたむけらぐ冬ちかづきぬ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
除虫菊白きを見ればにひみどり唐黍の毛もかき垂りにけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)