文鳥ぶんちょう)” の例文
雍家花園ようかかえんえんじゅや柳は、午過ぎの微風にそよぎながら、この平和な二人の上へ、日の光と影とをふり撒いている。文鳥ぶんちょうはほとんどさえずらない。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし念のためだから、何を飼うのかねと聞いたら、文鳥ぶんちょうですと云う返事であった。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ねえさんは、まだ、うそというとりらないのかい。べにがらのようにあかくて、もっとおおきいとりなんだよ。じゃ、ねえさんは、文鳥ぶんちょうっているだろう。ちょうど、あんなようなとりなのさ。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うつくしい朝陽あさひ光線こうせんが、ほそい梢から、木のこけから、滝壺たきつぼそこの水の底まで少しずつゆきわたっている。ひよ文鳥ぶんちょう駒鳥こまどり遊仙鳥ゆうせんちょう、そんな小禽ことりが、紅葉もみじちらして歌いあった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月寒く頭巾ずきんあぶりてかぶるなり 文鳥ぶんちょう
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
男は葉巻に火をつけたまま、えんじゅの枝にり下げた、支那風の鳥籠を眺めている。鳥は文鳥ぶんちょうか何からしい。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)