散漫さんまん)” の例文
自分の顔は見えないが、赤毛布と小僧の顔は、小屋の中からはすに差してくるランプの灯でよく見える。赤毛布は依然として、散漫さんまんなものである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(それゆえかえってこの信念を樹立し合わなかった昔はお互いにる部分が少し散漫さんまんな所もありました)
出来たら書きつけないと散漫さんまんになっていかぬと、念入りの修業だから、例の写生帖をあけて枕元へ置く。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼等かれら生活せいくわつひろさをうしなふと同時どうじに、ふかさをしてた。彼等かれらは六ねんあひだ世間せけん散漫さんまん交渉かうせふもとめなかつたかはりに、おなじ六ねん歳月さいげつげて、たがひむねを堀ほ》りした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)