摺餌すりえ)” の例文
生物を長く与えると色々な病気を起します。うぐいすを飼っても摺餌すりえを拵える位ですから鶏の餌を煮る位何でもありません。つまり慣れです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
島方の三人は、重湯おもゆをとるやらかゆをつくるやら、その間にあかざの葉の摺餌すりえをこしらえ、藤九郎の卵を吸わせ、一日中、病人の介抱に忙殺された。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あくる日一日は、と、ご悩気のうけと言った形で、摺餌すりえくちばしのあとを、ほんの筋ほどつけたばかり。ただし完全に蘇生よみがえった。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
廊下のすみに、摺餌すりえの道具も、蹴ちらしてあった。露八は、鶯のために、餌をっていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝霜に摺餌すりえ摺なり歩長屋 梨月
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
ちっと風変りな議論かもしりませんがうぐいすを飼って好い声を出させようとすると大層食物を吟味して営養の多い消化の速いような摺餌すりえを与えます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
縁先で、小鳥の摺餌すりえを作っていたおりんと、庭先の吹井戸ふきいどで髪をなでていた月江は
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかるに百年も安心な顔をしている親たちが多いから不思議さ。その癖目白の摺餌すりえを一々衡器はかりにかける人はあるけれども小児こどもの食物に注意する人がすくない。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
食物を精選するは先ず食物に関する智識を養うにあり。世間の親たちよ、うぐいす摺餌すりえを作る事が非常にむずかしきものと知らば小児の食物は一層大切なる事をおもえ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)