摺付すりつけ)” の例文
御子様がないのですから、奥様もも懐しそうに抱〆だきしめて、白い頬をその柔い毛に摺付すりつけて、美しい夢でも眼の前を通るような溶々とけどけとした目付をなさいました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
たゝみ摺付すりつけ々々己れが此店の久兵衞とかいふやつおのれ番頭の身を以て大膽不敵だいたんふてきにも亭主が馬鹿なりとて主人のよめへ不義を仕掛しかけ人外者にんぐわいものめと又々鼻づらをこするゆゑ御免々々と泣叫なきわめくを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
えん摺付すりつけ其處が御衣役御圓頂役つむりやくなれば諸役人も一了簡りうけんかはり殊には御寺格じかくと申彼是助る儀も御座らんにより何卒命乞いのちごひ成下なしくださるゝ樣ひとへに願ひ奉つる此事御聞入下さらば假令たとへ私しのからだは如何樣に相なるとも聊かもくるしからず何卒主人の一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
摺付すりつけ々々詫入わびいりつゝ持參金の儀は此節店の都合も御座れば二三日御待下さるべし荷物并びに離縁状の處は兩主人歸り次第しだいきけ今晩こんばんにも直に御宿所まで持參仕り候はんにより呉々くれ/″\も是までの不都合ふつがふ御勘辨ごかんべん下さる樣ひとへに/\願ひ上奉つるとふるへながら平蜘ひらくもの如くになりて申ゆゑ後藤はやゝ言葉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)