ひさ)” の例文
みなこれ屈竟くっきょう大男おおおのこ、いずれも手拭てぬぐいにおもてつつみたるが五人ばかり、手に手にぎ澄ましたる出刃庖丁でばぼうちょうひさげて、白糸を追っ取り巻きぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その嬉しさに我は暗き林をも、怪しき老女をも忘れ果てつ。我は農夫等と共に、即興の詩を歌はむとおもひしに、母上とゞめて宣給のたまふやう。そちは香爐をひさぐる子ならずや。
左手ゆんでひさげたる革鞄かばんうちより、ちいさき旗を取出とりいだして、臆面もなくお貞の前に差出しつ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)