探幽たんゆう)” の例文
奥には例の客が二人とこの前にすわっていた。二人とも品の好い容貌ようぼうの人で、その薄く禿げかかった頭がうしろにかかっている探幽たんゆう三幅対さんぷくついとよく調和した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
足ですか、足は大丈夫ですヨ。すこし屠蘇に酔ってるんでしょう。時にきょうの飾りはひどく洒落しゃれていますな。この朝日は探幽たんゆうですか。炭取りに枯枝を
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
この先生は探幽たんゆうの流れをんで、正しい狩野派の絵をよくかれた人で、弟子にも厳格な親切な人でありました。
青畳の廊下を踏んで、右へ曲ると大書院、昔風に武者隠しまで付いて、床には探幽たんゆうの三幅対が、古丹波の凄い花瓶に活けた、秋草の匂の影からお客様を吟味して居ります。
普請は木口きぐちを選んで贅沢ぜいたくなことで建てゝから五年もったろうというい時代で、落着いて、なか/\席の工合ぐあいも宜しく、とこは九尺床でございまして、探幽たんゆうの山水が懸り
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
美術といってもおもに古代の名画で、雪舟せっしゅうとか探幽たんゆうとか、小学校の本にさえ名の出ている、古来の大名人の作は、ほとんどもれなく集まっているといってもいいほどでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
今日はまた珍客の入来じゅらいとて、朝まだきの床の中より用意に急がしく、それ庭を掃けしとねを出せ、銀穂屋ぎんぼや付きの手炉てあぶりに、一閑釣瓶いっかんつるべの煙草盆、床には御自慢の探幽たんゆうが、和歌の三夕これを見てくれの三幅対
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
○末次君探幽たんゆう菊寿童きくじゅどうの事。(懇請こんせい
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
定家を狩野派かのうはの画師に比すれば探幽たんゆうと善く相似たるかと存候。定家に傑作なく探幽にも傑作なし。しかし定家も探幽も相当に練磨の力はありて如何なる場合にもかなりにやりこなし申候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
探幽たんゆう菊寿童きくじゅどうだ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
定家を狩野かのう派の画師に比すれば探幽たんゆうと善くあい似たるかと存候。定家に傑作なく探幽にも傑作なし。しかし定家も探幽も相当に練磨の力はありていかなる場合にもかなりにやりこなし申候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)