掛直かけね)” の例文
さればこそひとたびたるはおどろかれふたゝたるはかしらやましく駿河臺するがだい杏雲堂きやううんだう其頃そのころ腦病患者なうびやうくわんじやおほかりしことひとつに此娘このむすめ原因もととは商人あきうどのする掛直かけねなるべけれどかく其美そのびあらそはれず
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
又売物の掛直かけね同様にして、斯くまでに厳しくいましめたらば少しは注意する者もあらんなど、浅墓あさはかなる教訓なればれまでのことなれども、真実真面目まじめに古礼を守らしめんとするに於ては
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ただ一種の曲解せられたる意味をもって坂の上から坂の下まで辛うじて乗りおおせる男なり、遠乗の二字を承って心安からず思いしが、掛直かけねを云うことが第二の天性とまで進化せる二十世紀の今日
自転車日記 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)