)” の例文
旧字:
中川君、それではね、食卓を飾るのに西洋風の粗雑なつかしの花を用いずとも我邦わがくにには古来より練習した活花いけばなの特技があるでないか。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
もっとも相手の夫婦づれは、格別迷惑らしい容子ようすもなく、一輪いちりんしの桜を隔てながら、大阪弁でしきり饒舌しゃべっていた。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
葉子は黒繻子くろじゅすえりのかかった、綿のふかふかする友禅メリンスの丹前を着て机の前に坐っていたが、文房具屋で買った一輪しに、すでに早い花が生かっていて
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
庸三の好きな菜の花が机の上の一輪しに挿されるころになると、葉子のあおかった顔にもいくらか生気が出て来て、睫毛まつげの陰にうるんでいた目にも張りが出て来た。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)