挙動やうす)” の例文
旧字:擧動
その時の、俥の上の男の挙動やうすは、今猶明かに心に残つてゐる。然し言葉を交したのでもない。友の静子は耳の根迄紅くなつてゐた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あい……旦那様だんなさま有難ありがたうございます。と可愛かあいらしい手をいて、くびを横にして挨拶あいさつをします挙動やうすが手のきやうから、辞儀じぎ仕方しかたがなか/\叮嚀ていねいでげす。主「ンー……お前様まへさんんだらうね……。 ...
片目の小さい、始終しよつちゆう唇をめ廻す癖のある、鼻の先に新聞記者がブラ下つてる様な挙動やうすや物言ひをする、可厭いやな男であつた。
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼女の挙動やうすはまだ男を知つて居ないらしいが、那麽あんなに若く見える癖に二十二だつていふから、もう男の肌に触れてるかも知れぬ。それも構はんさ。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
奇妙に生れついた男もあればあるもので、此男が真面目になればなる程、其挙動やうすが吹き出さずに居られぬ程滑稽に見えて、何か戯談でも云ふとちつとも可笑しくない。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
菊池君は私にも叩頭おじぎをして、満々なみなみと酌を享けたが、此挙動やうすは何となく私に興を催させた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)