手練てなみ)” の例文
思ひもかけぬ旅僧の手練てなみに、さしもの大勢あしらひ兼ね、しらみ渡つて見えたりければ、雲井喜三郎今は得堪えたへず、小癪こしゃくなる坊主の腕立てかな
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
非常な早業であり、非常な手練てなみであったが、とどめを刺す余裕がなかったものか、その必要を認めなかったものか、きり捨てたまま姿を隠してしまいました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
欷歔すすりなきの声がした。陶器師が泣いているのだ。……月子は静かに手を延ばしたがのみつちとを取り上げると、サク、サク、サクとりかけの仮面めんを、巧妙たくみ手練てなみで刻り出した。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と逆に捻倒ねじたおした手練てなみを見ると、あとの二人がばら/\/\と逃げました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うたひながら悠々いう/\大宮村おほみやむらへと行けるをりから畔倉は少し遣過やりすごしつゝうかゞよつて後より大袈裟掛おほげさがけに切付れば流石さすがの金兵衞も手練てなみの一刀にたまり得ずアツと一こゑさけびしまゝ二ツに成てはてたりけり重四郎は呵々から/\と打笑ひ仕てやつたりと云ながら刀ののり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)