所望のぞみ)” の例文
処女きむすめのようにずかしがることもない、いいばばあのくせにさ。私の所望のぞみというのはね、おまえさんにかわいがってもらいたいの」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前のく唯継だつて、もとより所望のぞみでお前をもらふのだから、当座は随分愛しも為るだらうが、それが長く続くものか、かねが有るから好きな真似も出来る、ほかたのしみに気が移つて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
長「うん、つらの方か、此方こっち所望のぞみだ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「いや、どうも重ね重ね、それでは実に済まん。私もこの報恩おんがえしには、おまえさんのために力の及ぶだけのことはしなければならんが、何かお所望のぞみはありませんか」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふ可くんば、宮はおのれが美しさの幾何いかばかり値するかを当然に知れるなり。彼の美しさを以てしてわづか箇程かほどの資産をぎ、類多き学士風情ふぜいを夫に有たんは、決して彼が所望のぞみの絶頂にはあらざりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もうお前には用は無いからどうでもひとりで勝手に為るが可い、と云ふやうな不人情なことを仮初かりそめにも為たのぢやなし、鴫沢の家は譲らうし、所望のぞみなら洋行もせやうとまで言ふのぢやないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それはいかん! 自分の所望のぞみを遂げるために恩を受けて、その望みを
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)