戸外とのも)” の例文
いつの間にやらけ過ぎてしまった、戸外とのもは怖ろしい静寂の中に、時々こがらしが雨戸の外を過ぎて行くのに気が付きまして
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
かくて小尼公の尼寺に入り給ひしより、六週の後となりし時、醫師くすしは始て我に戸外とのもを逍遙することを許しつ。
御殿場のここの駅路うまやじ、一夜寝て午夜ごやふけぬれば、まだ深き戸外とのもの闇に、早や目ざめ猟犬かりいぬが群、きほひ起き鎖曳きわき、おどり立ち啼き立ちくに、朝猟の公達か、あな
戸外とのもにはカリンのがうはつて、淡紅うすくれなゐはなくらあめにはにたちまよふてゐた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
舞ひ狂ふ嵐の腹が絶叫に似た唸りをたてて棟を打ち飄と戸外とのもを噛み狂ふ度に、一頻り重苦しげに軋みたつ鈍い家鳴に打ちまじつて、絶え入るやうな与里の愁訴は忍び泣きの心細さに吹き千切られ
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
御殿場のここの駅路うまやぢ、一夜寝て午夜ごやふけぬれば、まだ深き戸外とのもの闇に、早や目ざめ猟犬かりいぬが群、きほひ起き鎖曳きわき、をどり立ち啼き立ちくに、朝猟の公達か、あな
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
戸外とのもにぞ火はさかる、………あはれ、あはれ、たなに見よ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
洋妾らしやめんの長き湯浴ゆあみをかいま見る黄なる戸外とのもつばくらのむれ
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
戸外とのもすかしぬ。——事もなきのしづけさに。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)