トップ
>
戞然
>
かつぜん
ふりがな文庫
“
戞然
(
かつぜん
)” の例文
その矢はまさに誤たず大鵬の横腹に当ったが、こはそもいかに肉には通らず、
戞然
(
かつぜん
)
たる音を響かせて、二つに折れた矢は地に落ちて来た。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
五大洲はまっすぐな
球
(
たま
)
をだした。
戞然
(
かつぜん
)
と音がした、見物人はひやりとした、球ははたして千三に向かった、千三は早くも右の方へよった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
もう少し
委
(
くわ
)
しくいえば、
戞然
(
かつぜん
)
として木を打ち割った音と同時に鶯が
啼
(
な
)
いたので、「音にうち当る」といったものであろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
その
戞然
(
かつぜん
)
たる音を聞くと、用人は、自分がそれを仕果したように、とたんにがくと首を垂れて、すぐ息をひいてしまった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこにある株を掘り起しました。地ならしをするために、そこにある石を取って
除
(
の
)
けました。するとその石の一つが
竹藪
(
たけやぶ
)
にあたって
戞然
(
かつぜん
)
と鳴りました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そのとき、ジルコーヴィチ氏が
戞然
(
かつぜん
)
と靴を鳴らしたかと思ふと、テーブルの上にあつた書類をばりばりと揉みくしやに丸め、力まかせに床へ叩きつけた。
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
見よ、
戞然
(
かつぜん
)
声あって骰子の一個は真二つに裂けて飛んだ。一片は六を上にしている。一片は一を上にしている。そして他の一個の骰子は六を示しているではないか。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
広間には歌声と笑い声と、拍車をつけた足で拍子を取る、
戞然
(
かつぜん
)
騒然たる音とがとどろき渡った。
ある幸福
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
あのかぐわしきかやの木の清浄なかおりをたしなみながら、ひんやりと手に冷たい石をとりあげて、
戞然
(
かつぜん
)
と音たてながら打ちこんで行くことは、まことに
颯々爽々
(
さつさつそうそう
)
として心気の澄み静まるもので
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
珠はさながら
霰
(
あられ
)
のように、
戞然
(
かつぜん
)
と四方へ飛び散りました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
戞然
(
かつぜん
)
と
鍔
(
つば
)
を鳴らして、守人は蒼白く笑った。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
都
(
みやこ
)
の
声
(
こえ
)
よ。
戞然
(
かつぜん
)
と
全都覚醒賦
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
戞然
(
かつぜん
)
と火の匂いを発して五合六合——二つの木剣が縄に
捩
(
よじ
)
れて見えるばかり激しく打ち合った間髪、エヤッと五体を絞った重蔵の気合い鋭く
横薙
(
よこなぎ
)
に捨てた真蔭の玄妙。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
追い討ちの
大刀
(
だんびら
)
をふりかぶって飛びついたが、御方はそれに眼もくれず、今度は、こんがらの真正面の敵
臂
(
ひじ
)
の久八へ斬りつけて、
戞然
(
かつぜん
)
とたッた一合、見る間に、相手の
鍔
(
つば
)
を割って
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
戞
漢検1級
部首:⼽
12画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“戞”で始まる語句
戞々
戞
戞矢
戞戞
戞〻
戞合
戞飛
戞戞戞