懷中くわいちゆう)” の例文
新字:懐中
わたくし宜道ぎだうです」とわかそうこたへた。宗助そうすけすこおどろいたが、またうれしくもあつた。すぐ懷中くわいちゆうかられい紹介状せうかいじやうしてわたすと、宜道ぎだうちながらふうつて、そのくだした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あり別れを惜みて伏水ふしみに至る。兵士めぐつて之をる。南洲輿中より之を招き、其背をつて曰ふ、好在たつしやなれと、金を懷中くわいちゆうより出して之に與へ、かたはら人なき若し。兵士はなはだ其の情をかくさざるに服す。