惡者わる)” の例文
新字:悪者
これはわたしわる御座ござりました、ではおまをしませう、おともいたしませう、さぞおどろきなさりましたろうとて惡者わるらしくもなく提燈ちようちんもちかゆるに、おせきもはじめてむねをなで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ではお乘せ申ませう、お供を致しませう、嘸お驚きなさりましたろうとて惡者わるらしくもなく提燈を持かゆるに、お關もはじめて胸をなで、心丈夫に車夫の顏を見れば二十五六の色黒く
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まだゑんづかぬいもとどもが不憫ふびんあね良人おつとかほにもかゝる、此山村このやまむら代〻だい/\堅氣かたぎぱう正直しようじき律義りちぎ眞向まつかうにして、風説うわさてられたことはづを、天魔てんまうまれがはりか貴樣きさまといふ惡者わる出來でき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
惡い風説うはさを立てられた事も無き筈を、天魔の生れがはりか貴樣といふ惡者わるの出來て、無き餘りの無分別に人の懷でも覗うやうにならば、恥は我が一代にとゞまらず、重しといふとも身代は二の次
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)