怒気どき)” の例文
旧字:怒氣
勝家かついえ愚将ぐしょうではない、ましてや分別もじゅうぶんな年ごろ。のとうぜんに、やり場のない怒気どきが、うめきとなって口からもれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云いさま、ガアッとたんの若侍の顔にき付けました故、流石さすがに勘弁強い若侍も、今は怒気どき一度にかおあらわれ
怒気どきを破裂させた造酒が、グッ! 手をのばして長庵の襟髪えりがみを掴んだ。お六が割り込んで来た。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鳥井は青ざめた顔にかすかな怒気どきを含んでなじる様に云った。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
葛岡は、さっと顔に怒気どきを見せ
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
魔力まりょくはそれをはなった持主もちぬし怒気どきをうけて、ブウーンと独楽こま心棒しんぼう生命力せいめいりょくをよみがえらし、蛾次郎がじろうの顔へうなりをあげておどってきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といわれ、作藏は少し怒気どきを含み、訛声だみごえを張上げ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
青年が満身に怒気どきをふくんでどなり返した。
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「なにッ」と持ちなおした鉄杖を、まッこうにふりかぶった忍剣は、怒気どきにもえた目をみひらいて、ジリジリと相手のすきをねらいつめる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉の怒気どきは、容易にさめないのである。そばには、近衆たちも聞いている。そして、市助のすがたへ、秀吉と同じように
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、秀吉は、やり場のない怒気どきを、あきらかに、おもてに燃やした。天野、小坂の物見の復命も
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄のそんな偏愛と師直の奸策とが結ばれて、自分のこれまでに尽してきた半生の功も、副将軍の地位も、一朝いっちょうにいま、ぎ取られたのかと思うと、直義は煮えるような怒気どきと淋しさとにくるまれた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冷やかされたので、お十夜の怒気どきは、ムラムラと燃えた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「怒らないことですな。怒気どきを発するのは禁物です」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元気というよりは怒気どきであった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)