彼世あのよ)” の例文
こうして私を愛してくれるべき可愛い者達にすっかり先死さきだたれ、おまけに大病に取憑かれて、すんでのことに彼世あのよへ行くところでございました。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
運惡うんわるく、おまへ途中とちうんでしまつたなら、わたくし追付おつゝ彼世あのよで、おまへかほるやうになりませうよ。
其後そのご母の希望をれて、さいを迎え、子を生ませると、間もなく母も父の跡を追って彼世あのよった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
村「私のようなものと死ぬのは外聞がわるかろうけれども、友さんさだまる約束と諦めて、どうぞ死んで彼世あのよとかへ行っても、どうぞ見捨てないで女房にょうぼと思っておくんなさいよ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おまえさんとならばヨウ、何処どこまでもウ、親を離れて彼世あのよまでもゥ」わかい女の好いこえが歌う。「コラコラ」皆がはやす。禾場うちばの日はかん/\照って居る。くるり棒がぴかりと光る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
神様のことだの、永遠の事柄だの、今の苦しみを忍びながら彼世あのよで得られる仕合わせなどを、話してきかした。しかしそれは彼女を少しも慰めなかった。ある日、ゴットフリートがやってきた。
彼世あのよからのたよりが又一つ来た。其はお馨さんが臨終りんじゅう十一日前の手紙であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)