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まぼろし
ふりがな文庫
“
幻像
(
まぼろし
)” の例文
口一つきかない葉子自身の姿……そんな
幻像
(
まぼろし
)
があるいはつぎつぎに、あるいは折り重なって、灰色の霧の中に動き現われた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その氷山の嶋嶋から、
幻像
(
まぼろし
)
のやうなオーロラを見て、著者はあこがれ、惱み、悦び、悲しみ、且つ自ら怒りつつ、空しく潮流のままに漂泊して來た。
氷島
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
女優が亭主持になると、人気が衰へはしまいかと気遣ふのは詰らぬことで、女優はどんな境涯にゐても、自分を美と
蠱惑
(
こわく
)
の
幻像
(
まぼろし
)
だといふ覚悟を忘れてはならぬ。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何の
情
(
じょう
)
を含みてか
吾
(
わが
)
与
(
あた
)
えし
櫛
(
くし
)
にジッと見とれ居る美しさ、アヽ
此処
(
ここ
)
なりと
幻像
(
まぼろし
)
を写して
再
(
また
)
一鑿
(
ひとのみ
)
、
漸
(
ようや
)
く二十日を越えて最初の意匠誤らず、花漬売の時の
襤褸
(
つづれ
)
をも
著
(
き
)
せねば子爵令嬢の錦をも着せず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
妄想
(
まうさう
)
、妄想——今の患者の眼に映つた猫も、君の眼に映つた新平民も、
皆
(
みん
)
な衰弱した神経の見せる
幻像
(
まぼろし
)
さ。猫が捨てられたつて何だ——下らない。穢多が
逐出
(
おひだ
)
されたつて何だ——
当然
(
あたりまへ
)
ぢや無いか。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
見わたすかぎり地上の風景はまどろんでゐる。けれど天空は息づいてをり、
万象
(
ものみな
)
が奇しくも、荘厳である。そして人間の魂の奥底にも銀いろの
幻像
(
まぼろし
)
が際限もなく、いみじき諧調をなして群がりおこる。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
“幻像”の意味
《名詞》
実際には無いのに有るかのように見える形・姿。
(出典:Wiktionary)
幻
常用漢字
中学
部首:⼳
4画
像
常用漢字
小5
部首:⼈
14画
“幻”で始まる語句
幻
幻影
幻象
幻想
幻燈
幻覚
幻滅
幻術
幻想的
幻術師