年長うへ)” の例文
年長うへの長ちやんは学校へ行き始めてから急に兄さんらしく成つたと言はれて居るが、何となくその日はしをれた顔付で、背後うしろからお節にすがりついた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
丁度そこへお文さんの兄さんの道さんがやつて來ました。道さんはお文さんや私より二ツ三ツ年長うへの少年で、村の學校でも評判な好く出來る生徒でした。
と一番年長うへの娘の尋ねるやうな声が、夫人の頭脳あたま内部なかで聞えた。夫人はまた其返事でもするやうに
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その上に兄が二人あつて、一人は母の生家さとの方へ養子に參りました。一番年長うへが姉です。姉は私がまだ極く幼少い時に嫁に行きましたから、殆んど吾家うちに居たことは覺えません。
といふ伯父おぢさんのこゑきつけました。あのお前達まへたち伯父おぢさんが、とうさんには一番いちばん年長うへにいさんにあたひとです。とうさんは問屋とんやの三らうさんをかせたばつとして、にはたせられました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
実は父親も最早もう好い年でしたからね——左様さうですなあ貴方の父上おとつさんよりは少許すこし年長うへでしたらう——彼様あゝいふ風に平素ふだん壮健たつしやな人は、かへつて病気なぞにかゝると弱いのかも知れませんよ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『まだ下に妹が一人と弟が一人。一番年長うへの兄さんは兵隊に行つて死にやした。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
でも、年長うへの御嬢様はちやんと訳が解つて被入いらつしやいます。
灯火 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)