岩角がんかく)” の例文
その結果、現官のままの吾輩を中心にして東洋水産組合というものが認可されて本拠を釜山ふざんの魚市場に近い岩角がんかくの上に置いた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鉤形かぎがた硬嘴こうし爛々らんらんたるその両眼、微塵みじんゆるがぬ脚爪あしつめの、しっかと岩角がんかくにめりこませて、そしてまた、かいつくろわぬ尾の羽根のかすかな伸び毛のそよぎである。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
洋涛万里やうたうばんりを破るの大艦といへども、停滞動く事なくむば汚銹腐蝕をしうふしよくを免かれ難く、進路一度梶を誤らば遂に岩角がんかくの水泡に帰せむのみ。いはんや形色徒らに大にして設備完たからざる吾現時の状態に於てをや。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
美事な日本晴れの朝凪あさなぎで、さしもの玄海灘が内海うちうみ外海そとうみかわからない。絶影島まきのしまを中心に左右へ引きはえる山影、岩角がんかくは宛然たる名画の屏風びょうぶだ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかも雨後のしずく燦々さんさんと所在の岩角がんかく、洞門にうち響きうち響き、降るかとばかりにこぼれしきる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
そこで、またくびすをめぐらして岩角がんかくと雑草の間の小径こみち香木こうぼく峡の乗船地へとむかっておりた。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
岩角がんかくに鷹くろくゐる夕焼がいつまでも見えてこの水早し
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蹴爪に岩角がんかくをつかむ鷹一羽そのしもつ瀬ぞさをに渦巻く
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)