いん)” の例文
趙尚書ちょうしょうしょ臨安りんあんいんであった時、奇怪の賊があらわれた。彼は人家に入って賊を働き、必ず白粉をもってその門や壁に「我来也がらいや」の三字を題して去るのであった。
いんの大納言様が茶筌髷を散らし、指貫さしぬき一つで道化た踊りを、たった今しがた踊りましたっけ……」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
京兆けいちょういん温璋おんしょうは衙卒の訴にもとづいて魚玄機を逮捕させた。玄機はごう弁疏べんそすることなくして罪に服した。楽人陳某は鞠問きくもんを受けたが、情を知らざるものとしてゆるされた。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
張既ちょうきあざな徳容とくようという者がいます。高陵の生れです。これを京兆けいちょういんにお用い下さい。張既と力を協せて、必ず、丞相をして二度と西涼のゆうをなからしめてみせます」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その小舟は富豪のいん翁というのが溺れる者をすくうために設けてあるものであった。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
県のいんを勤める丁欽ていきんがそれを吟味すると、前後の事情から判断して、劉の訴えは本当であるらしい。しかも死人のからだにはなんのきずのあとも残っていないのである。
皇甫嵩こうほすう将軍は、功によって、益州えきしゅうの太守に封ぜられ、朱雋は都へ凱旋するとただちに車騎将軍となり河南のいんに封ぜられている。あの孫堅さえ内縁あって、別部司馬べつぶしばに叙せられたほどだ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
河南のいんを勤めている張全義ちょうぜんぎという人に尊敬されていましたが、あるとき張全義がりょう太祖たいそと一緒に食事をしている際に、太祖は魚のなますが食いたいと言い出しました。
いん師賢もろかた、四条隆資たかすけ洞院とういん実世さねよ、伊達ノ三位さんみ遊雅ゆうが、平ノ成輔なりすけ、日野資朝すけとも
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)