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實親
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じつおや
受出し名も千代と
改めて我妻となしけるが
實親は越後に在るとのこと故彼れが
實家を
尋ねんと此地へ來り
今朝馬丁の惡漢が我が妻ちよを
年明後に
妻となし越後に
實親ありと
探ね行しに同國猿島河原にて
人手に
掛り其
首をば川下にて
見附たりと申す然すれば其方どもか
奸計にて右の
死骸へ
娘悴の
着物を着せ傳吉を
取扱ひ居候得ば
遊女に付候事は委細に辨へ居候と申にぞ大岡殿
然らば
抱へ
遊女文事丁山富事小夜衣の兩人は何人の
周旋にて何れより
抱へたるや
請人等巨細に申立よと
尋問らるゝに文七丁山事は三河國藤川
在岩井村百姓十兵衞と申
實親の
判にて麹町三丁目
醫師長庵儀は右十兵衞の兄なる由にて受人に
相立召抱へ候又妹小夜衣事は