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實母
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じつぼ
彼女は、
片山一人を
得る
爲には、
過去の一
切を
棄てた。
肉親とも
絶たなければならなかつた。もつとも、
母親は
實母ではなかつた。
加へ亦城富も孝行を
盡し居たり時に
享保八年に至り實父富右衞門の
災難のことどもを
實母のお峯が來り
委細に物語りしければ城富は是を聞き大いに
驚き甚だ
悲しみつゝ涙を流し只一心に神佛を
見られコレ城富
幸手の
實母は
息才で居かとの尋ねに城富はハツと
首を
田原町へ縁付し娘お
粂なれ共母が長々の病氣の中も
漸々一度
見舞に來りしばかりにて其節も心配の樣子もなく
劇場の咄などしてそは/\と戻りし
限其後は見舞の
使だに
差越ず如何に不人情成ばとて
實母の病氣を