“富貴(ふっき)” の例文
反対に、一部の黄巾賊が、その血をすすり肉をくらって、不当な富貴(ふっき)と悪辣(あくらつ)な栄華(えいが)をほしいままにしているのだ。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富貴(ふっき)楼お倉、有明(ゆうめい)楼おきく、金瓶(きんぺい)楼今紫(いまむらさき)は明治の初期の美女代表で、あわせて情史を綴(つづ)っている。
明治大正美人追憶 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いくら天下のお旗本でも、その年々の取米(とりまい)は決まっている。まして今の江戸の世界では武家よりも町人の方が富貴(ふっき)であることは、客商売の廓の者はよく知り抜いている。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
親友も汝(なんじ)を売るべし。父母(ふぼ)も汝に私(わたくし)あるべし。愛人も汝を棄つべし。富貴(ふっき)は固(もと)より頼みがたかるべし。爵禄(しゃくろく)は一朝(いっちょう)にして失うべし。汝の頭中に秘蔵する学問には黴(かび)が生(は)えるべし。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不図した事から浮み上(あがっ)て当今では些とは資本も出来、地面をも買い小金をも貸付けて、家を東京に持ちながら、その身は浜のさる茶店(さてん)の支配人をしている事なれば、左而已(さのみ)富貴(ふっき)と言うでもないが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何となく、貧乏くさい佗(わび)しいものです。私なども覚(おぼえ)があります。親仁は問わずがたりに、姉娘は、輪島で遊女のつとめをする事。この高浜は、盆前から夏一杯、入船出船で繁昌(はんじょう)し、一浦(ひとうら)が富貴(ふっき)する。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
○男金女土(おとこかねおんなつち)大(おおい)に吉(よし)、子五人か九人あり衣食満ち富貴(ふっき)にして——
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)