天津風あまつかぜ)” の例文
エエ、やりなおしの魔独楽まごま天津風あまつかぜ吹上ふきあげまわし、村雨下むらさめさがりとなって虹渡にじわたりの曲独楽きょくごま首尾しゅびよくまわりましたらご喝采かっさい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きみのとこは風呂敷にもしろ、よしんば中がからだって、結びめを蝶々にしたろう。裸体はだかでそいつを引背負ひっしょったって、羽の生えた処は、天津風あまつかぜ雲の通路かよいじじゃないか。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それじゃ仕方がないから大切だいじに保護して置いてくれ。仇討ちは曽我そがの場合には十八年かゝっている。十八年の天津風あまつかぜ。今に知事になって切ってやるというのだった。
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
足袋二枚はきて藁沓わらぐつつま先に唐辛子とうがらし三四本足をやかため押し入れ、毛皮の手甲てっこうしてもしもの時の助けに足橇かんじきまで脊中せなかに用意、充分してさえこの大吹雪、容易の事にあらず、吼立ほえたつ天津風あまつかぜ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
……いやアたなびく、天津風あまつかぜ、雲の通路かよいじ、といったのがある。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)