大降おほぶり)” の例文
むらさめ吹通ふきとほしたかぜに、大火鉢おほひばち貝殼灰かひがらばひ——これは大降おほぶりのあとの昨夜さくやとまりに、なんとなくさみしかつた——それがざかりにもさむかつた。
十和田の夏霧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
風も加はつてゐる、電車を待つてゐる間に、インバネスの袖はぐつしより濡れて了ふほどの大降おほぶりであつた。
社会と自己 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
大降おほぶり小降こぶり幾度いくどあめれ、おまけに地震ぢしんにあつた、裾短すそみじか白絣しろがすりあかくなるまで、苦労くらうによれ/\のかたちで、くろ信玄袋しんげんぶくろ緊乎しつかりと、巌丈がんぢやう蝙蝠傘かうもりがさ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)