大概あらまし)” の例文
仮令たとへ木匠こだくみの道は小なるにせよ其に一心の誠を委ね生命を懸けて、慾も大概あらましは忘れ卑劣きたなおもひも起さず、唯只鑿をもつては能く穿らんことを思ひ
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
四丈八尺位の高さだから大概あらましの処は見える。人間の五、六人は頭の中へ入れるようにして、先様お代りに、遠眼鏡などを置いて諸方を見せて、客を追い出す。
羽織が大概あらまし乾いた頃に女教師が来た。其の扮装みなりを見上げ見下して、目賀田は眼を円くした。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其歌は人生の短きと戀愛の幸あるとを言へり。こゝに大概あらましを意譯せんか。其辭にいはく。あけの唇に觸れよ、誰か汝の明日あす猶在るを知らん。戀せよ、汝の心の猶わかく、汝の血の猶熱き間に。
その話の大概あらましはこうであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
四丈八尺位の高さだから大概あらましの処は見える。人間の五、六人は頭の中へ這入れるようにして、先様お代りに、遠眼鏡とおめがねなどを置いて諸方を見せて、客を追い出す。
よしや惜しむとも惜しみて甲斐なくとどめて止まらねど、たとえば木匠こだくみの道は小なるにせよそれに一心の誠をゆだ生命いのちをかけて、欲も大概あらましは忘れ卑劣きたなおもいも起さず
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
他のものは大概あらまし批評の標準が立っていて、特に私が見出みいだすまでもないことで、奈良の新薬師寺の薬師如来にょらいなど木彫りとして結構なものの中でも特にすぐれていると思って見たことであった。