大内おおうち)” の例文
柴の里の庄司しょうじの一人女子むすめで、大内おおうち采女うねめにあずかっていたのが婿を迎えることになり、媒氏なこうどをもって豊雄の家へ云って来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これは大内おおうちなどで催おされた雛の宴で、いつもは厳粛な宮中も、今日は雛祭りとて皆うちくつろいで笑いさざめいておる。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
かつは、関東武者の腹には「洒落しゃらくさい青公卿ばらが」という反動やら、また「大内おおうちとて、いまは幕府の監視のうちだ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相撲すもうを秋の季と定めるのは、大内おおうち相撲節会すまいのせちえに基くものとすれば、実感写生を重んずる今の俳人が、依然これにならっているのは不思議なようである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
淇園きえん一筆』に、大内おおうち甲子祭きのえねまつりの夜紫宸殿ししんでんの大黒柱に供物を祭り、こと一張で四辻殿林歌の曲を奏す。
どうやら西方の大内おおうち勢らしく、聞きれぬ言葉なまりが耳につきます。そのやうな細かしい事にまで気がつくやうになりましたのも、度重なる兵火をくぐつて参りました功徳くどくでもございませうか。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
このがけは急でとても下りられない。下にりよう。松林だ。みちらしくまれたところもある。下りて行こう。やぶだ。日陰ひかげだ。山吹やまぶきの青いえだや何かもじゃもじゃしている。さきに行くのは大内おおうちだ。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたくしから殿のお耳に入れた儀も——里見さとみ大内おおうちなどの諸家の城には天守があるということも——いつか宿直とのいの折、光秀どのから詳しく伺ったおはなしを、お伝えいたしたに過ぎません
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうやら西方の大内おおうち勢らしく、聞きれぬ言葉なまりが耳につきます。そのような細かしい事にまで気がつくようになりましたのも、度重なる兵火をくぐって参りました功徳くどくでもございましょうか。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)