夜々よな/\)” の例文
予が面體めんたい見覺みおぼあるかとの御尋なり此時忠右衞門かしこまり奉る上意の通り私し儀山田奉行勤役中きんやくちう先年阿漕が浦なる殺生禁斷せつしやうきんだんの場所へ夜々よな/\あみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それの年に此井のほとり夜々よな/\怪物ばけものが出ると云ふ噂が立つた。或晩柏軒が多紀茝庭さいていの家から帰り掛かると、山伏井戸の畔で一人の男が道連になつた。そして柏軒にことばを掛けた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
何もわきまえん奴だと權六は遠慮を申付けられました、遠慮というのは禁錮おしこめの事ですが、權六ちととも遠慮をしません、相変らず夜々よな/\のそ/\出てお庭を見巡みまわって居りますので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百合子は土蔵の鍵を秘蔵して夜々よな/\彼等を導き込む役目を果しつゝあつた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
徳太郎君此處ここへも到り夜々よな/\あみおろされける此事早くも山田奉行やまだぶぎやう大岡忠右衞門きゝて手附の與力よりきに申付召捕めしとるにはおよばず只々嚴重げんぢう追拂おひはらふべしと申ふくめければ與力よりき兩人その意を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
立去り美濃國みのゝくに各務郡かゞみごほり谷汲たにくみさと長洞村ながほらむらの日蓮宗にて百八十三箇寺の本寺なる常樂院の當住たうぢう天忠上人てんちうしやうにんと聞えしは藤井紋太夫がおとゝにて大膳が爲にはじつ伯父坊をぢばうなれば大膳は此長洞村へ尋ね來りしばらく此寺の食客しよくかくとなり居たりしが元より不敵の者なれば夜々よな/\往還わうくわんへ出て旅人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)