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よな/\
百合子は土蔵の鍵を秘蔵して
夜々彼等を導き込む役目を果しつゝあつた。
徳太郎君
此處へも到り
夜々網を
卸されける此事早くも
山田奉行大岡忠右衞門
聞て手附の
與力に申付
召捕には
及ず只々
嚴重に
追拂ふべしと申
含ければ
與力兩人その意を
立去り
美濃國各務郡谷汲の
郷長洞村の日蓮宗にて百八十三箇寺の本寺なる常樂院の
當住天忠上人と聞えしは藤井紋太夫が
弟にて大膳が爲には
實の
伯父坊なれば大膳は此長洞村へ尋ね來り
暫く此寺の
食客となり居たりしが元より不敵の者なれば
夜々往還へ出て旅人を