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境論
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さかひろん
考へ給ふ處におよそ奉行たる者は
正路にあらざれば
片時も
立難し
其正直にて
仁義のもの
當世に少し然るに大岡越前守伊勢山田
奉行として先年の
境論ありし時いづれの奉行も
我武威を
相手なれば御大身をおそれ時の奉行も
捌きかねてあつかひを入て
濟すといへども
扱ひ
崩れ
訴へ出る事たび/\なり然るにこの度大岡越前守
山田奉行と成て來りしかば
百姓ども又々
境論を願ひ出づるを
よく/\これ
察すべきことなり
舜も人なり
我も人なり智に
臥龍(孔明の事なり)
勇に
關羽の如きもの
當世の人になからんや
爰に有章院殿の御代
大岡越前守伊勢山田
奉行となりてかしこに至り
諸人公事に
彼地にて多く
裁許あり先年より
勢州路紀州領の
境論の
公事ありてやむ事なし山田奉行
替りのたび事にねがひ出るといへども今もつて
落着せず是は