堂宮どうみや)” の例文
堂宮どうみや縁下えんのした共臥ともぶせりをします、婆々ばば媽々かかならいつでも打ちも蹴りもしてくれましょうが、それでは、念が届きませぬ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これなどはただ自分の名をいろいろと小札こふだに印刷して、それをできるだけ多くの堂宮どうみやの戸や柱にはってあるくだけで、刷毛はけのついた継竿つぎざおなどを用意して
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
だけがきずだが、至る処の堂宮どうみや寝室ねま日蔭ひかげの草はしとね、貯えれば腐るので家々の貰い物も自然に多い。ある時、安さんが田川たがわの側にひざまずいて居るのを見た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それは個人に頼むことこそ億劫おっくうだが、しかるべき堂宮どうみやへ納めてしまえば文句はなかろう。堂宮といううちには、神仏それぞれ持ち分があるのだから、不動様を閻魔様えんまさまもとに頼むわけにはゆくまい。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
木賃宿きちんやど、其れ等に雨雪をしのぐのは、乞食仲間でも威張いばった手合で、其様な栄耀えいようが出来ぬやからは、村の堂宮どうみや、畑の中の肥料こやし小屋、止むなければ北をよけたがけの下、雑木林の落葉の中に
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
堂宮どうみやすたれたのをおこして歩いたというところが変っている。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大山へは、夜立ちして十三里日着ひづきする。五円持て夜徹よどおし歩るき、眠たくなれば堂宮どうみやに寝て、唯一人富士に上って来る元気な若者もある。夏のいのちは日と水だ。照らねばならず、降らねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)