図柄ずがら)” の例文
旧字:圖柄
相馬の地は馬の産で名があり、野馬追のまおいの祭や三春駒みはるごまなど、馬にちなんだものが多いのであります。慣れた図柄ずがらですから焼物の上にも上手じょうずに描きます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ちらと見たわたくしは相撲すもうの画でも描いてゐたのかと思つて聞くと手本をうつしてゐたといふのは何と男女が半裸でからみ合つてゐるやうな妙な図柄ずがらであつた。
最も早熟な一例 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
母がかつて縁鼻えんばなへ出て、兄とを打っていた様子などは、彼ら二人を組み合わせた図柄ずがらとして、私の胸に収めてある唯一ゆいいつ記念かたみなのだが、そこでも彼女はやはり同じ帷子かたびらを着て
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女史の豊満な白い肉塊にくかいを更に生かすつもりであったことと、女史が最後につけていた長襦袢ながじゅばんが驚くべき図柄ずがらの、実に絢爛けんらんきわめた色彩のものであったことを述べて置くにとどめたい。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この図柄ずがらは、とくにわたくしが久保さんに註文をだし、大提燈を中心にした仁王門の一部を描いてもらったのであります。というのは作者としてつぎのような叙述がしたかったからであります。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
小さな旗と大砲の図柄ずがらを下につけたのが、至って細い額縁がくぶちに入れてある。
全体として模様を生む力が衰えて来た今日では、こういう伝統的な図柄ずがらの存在は、仮令たとえ新しみを欠くとしても、日本固有のものとして大切にすべきだと思います。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
画は一輪花瓶いちりんざしした東菊あずまぎくで、図柄ずがらとしてはきわめて単簡たんかんな者である。
子規の画 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やや鏝が冷めかかると、それでぼかしを入れる。細かい絵であるからわずかの動きで浮き出てくる。いくら見ても見厭みあきない。吾々は工人たちが知っている限りの図柄ずがら竹篦たけべらに焼附けてもらった。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)