四君子しくんし)” の例文
中で一番盛でもありまたよい仕事ぶりを見せたのは土瓶の類であります。山水や四君子しくんしの絵を好んで描きます。黒の線描せんがきに緑やあめ色を差します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
兄はよく四君子しくんしを画いたり、庭を写生したりしたので、童子が牛に乗って笛を吹いている絵をことによく画きました。それがかわいいので、よくねだってもらったものでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
日本画においてはじめに四君子しくんしさえよくおぼえ込んだらのちのあらゆる絵画にはその手法が織り込まれているから容易たやすいというのと同じで、笑う序、破、急、怒る序、破、急、くさる序、破
悦子は学校から帰って来ると、毎年お花見の時より外にはめったに着ることのない和服を着て、足に合わない大ぶりの足袋たび穿いて、観世水かんぜみず四君子しくんしの花丸の模様のある山村流の扇をかざして
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
建物の裏からは満開を過ぎた梅の蒸すやうな匂が漂つてゐた。それはしかし、あの四君子しくんしたとへられてゐるやうな清楚せいそなものではなく、何処どこか梅自身欝々うつ/\と病んでゐるかのやうな、重たいかをりだつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
模様は「山水」のほか「四君子しくんし」とか「まがき牡丹ぼたん」とか、おそらく二十種近くありましょうが、中で特に持映もてはやされましたのは山水絵でありました。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
どうも先生にかれたようには思われませんから、何かお手本を見て習われたのだと察します。お画きになるのは休日の静かな午前などで、その絵はおも四君子しくんしなどでした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)