噴飯ふんぱん)” の例文
ヂオフライは勿論 Geoffrey であらう。英吉利イギリスの古代演劇史を知るものには、これも噴飯ふんぱんに堪へないかも知れない。
本の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なお本職を指して米国べいこく市俄古シカゴ悪漢ギャング団長アル・カポーンに買収されたる同市警察署長某氏に比するものあるは憤慨ふんがいを通り越して、そぞろ噴飯ふんぱんを禁じ得ざるなり
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
腰掛こしかけ食いが驚くほど増えて来て、男と同じように「わたしはトロがいい」「いや赤貝あかがいだ」「うにだ」と生意気なまいきをやって、噴飯ふんぱんさせられることしばしばという次第だ。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
今日こんにち読返して見ると覚えず噴飯ふんぱんするほどである。わずか十四、五歳の少年が「昨日は紅楼に爛酔するの人」といっているに至っては、文字上の遊戯もまた驚くべきではないか。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かの京都の紫宸殿ししんでん前の右近うこんたちばな畢竟ひっきょうこの類にほかならない。そしてこんな下等な一小ミカンが前記歴史上のタチバナと同じものであるとする所説は、まったく噴飯ふんぱんものである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「実に可笑味おかしみがある。僕は今朝これを読んで鼻から飯を吹き出した。正に噴飯ふんぱんだよ」
負けない男 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と隅の方から苦しそうな弁解をした者がいたので、吾輩は思わず噴飯ふんぱんさせられた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
噴飯ふんぱんにあたいするようなことを、それから図にのって、喋々ちょうちょうとしゃべり出した。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは噴飯ふんぱんものでございましょうし、また、私のようなものでも顔を出して何やら文化に就いて一席うかがいますと、それでどうやら四方八方が円満に治るのだから是非どうぞ、と頼まれますると
男女同権 (新字新仮名) / 太宰治(著)
貫一は覚えず噴飯ふんぱんせんと為つつ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
予は常に確信す、大正の流俗、芸術を知らず、無邪気なる彼等の常談じやうだん大真面目おほまじめに随喜し渇仰かつがうするの時、まづ噴飯ふんぱんに堪へざるものは彼等両人にほかならざるを。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
車夫の空中へ飛びあがったことはフット・ボオルかと思うくらいである。俺は勿論後悔こうかいした。同時にまた思わず噴飯ふんぱんした。とにかく脚を動かす時には一層細心に注意しなければならぬ。……
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)