いいつ)” の例文
名さえ響かぬのっそりに大切だいじの仕事を任せらるることは檀家方の手前寄進者方の手前もむつかしかろうなれば、大丈夫此方こちいいつけらるるにきまったこと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いいつくれば得三も、探偵にうかがわるることを知りたれば、家を出でむは気懸りなりしに、これさいわいと銀平に
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
誰に定めていいつけんという標準きめどころのあるではなし、役僧用人らの分別にも及ばねば老僧わしが分別にも及ばぬほどに、この分別は汝たちの相談に任す、老僧はかまわぬ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
といいつつ四辺あたりを見廻すに、今しがた泰助の手より奪い返してお録に此室ここへ入れ置くよう、いいつけたりしお藤の姿、またもや消えて見えざりければ、啊呀あなやとばかり顔色がんしょく変じぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我図らずも十兵衛が胸にいだける無価の宝珠の微光を認めしこそ縁なれ、こたびの工事しごとを彼にいいつけ、せめては少しの報酬むくいをば彼が誠実まことの心に得させんと思われけるが
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)