呶々どど)” の例文
同様に、以前もよく、宮本武蔵などに、剣の道なるものを呶々どどしたので、吉川はさだめし、剣道もやるのだろうと思われたりした。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ロクロ首の怪談、又は絵画が、人間の夢、又は夢中遊行の心理を象徴せるものなる事は、ここにあらためて呶々どどするを要せざるべし。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その上にさらに呶々どど弁を弄する必要はないのであるが、事実上の主人公を三条西実隆にとった本篇においては、なお一回読者の忍耐を濫用しなければならぬかどがある。
高山植物の花については、彼は呶々どどする資格が無い。園の花、野の花、普通の山の花の中で、碧色のものは可なりある。西洋草花せいようくさばなにはロベリヤ、チヨノドクサの美しい碧色がある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
渠等かれらが額を集め、鼻を合せ、呼吸いきをはずませて、あたかも魔界から最後のたたかいを宣告されたように呶々どどしている、忌むべき宵啼の本体が、十間とは間を措かず忽然こつぜんとしてあらわれたのであったから。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
成政は、その精力的な体を、両肱りょうひじに誇張して、頭の粗雑を舌でおぎなってゆくような雄弁で、日頃の抱懐ほうかいを、呶々どどと、云いまくした。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
藤吉郎が呶々どどと説く舌先も、こういう相手には甚だ熱意ががれる。柳に風である。聞いているのかいないのか分らない。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私がここで、その功力くりきを百言で呶々どどするよりは、一度の御見ぎょけんがすべてを、明らかにするでしょう。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
成政は、呶々どどと、それをいって、兵部を閉口させたほど、秀吉の非をののしり、家康の徳をたたえた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから中二日おいて、また呼び出され、そのつど彼は、呶々どど、二心なき釈明にこれ努めた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、到底、彼の呶々どどなどは、聞きづらくて、貞盛のまえには、刃が立たなかった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……そういう呉将の中にあって、粛兄ただ一名のみ、呶々どど、烈々、主義を主張してやまず、今も提督にむかって、無駄口をくり返しておらるるから、ついおかしくなったまでのことです
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こううそぶいて、師直の取りしずめなど、てんで受けつけない始末であった。——以上、仁木義勝の言に、師直も呶々どどと、直義に訴えたことであった。——で、直義はここにおいて、硬軟両論の
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、彼が呶々どどと説明するのを聞けば、こうであった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)