名分めいぶん)” の例文
第八編に、上下貴賤の名分めいぶんよりして夫婦・親子の間に生じたる弊害の例を示し、「その害の及ぶところはこのほかにもなお多し」
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「いかなる名分めいぶんにせよ、大元帥たる御方が、その行宮あんぐうを捨て給うて、敵手に、あとの御運ごうんをゆだねられるからには、降参ときまッている!」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
〔評〕維新のげふは三藩の兵力に由ると雖、抑之を養ふにあり、曰く名義めいぎなり、曰く名分めいぶんなり。或は云ふ、維新のこう大日本史だいにつぽんし及び外史にもとづくと、亦しとせざるなり。
いうのか知らねえが、おらア何も、むりに生きていてえこたアねえ。生まれたついでに、生きているだけのことだ。名分めいぶんせえ立ちゃア、いま死んでもいいのだが、それがどうした——
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
甲斐かいの武田までを、外交的機略に用い、また、その名分めいぶんを大きくするためには、前室町さきのむろまち将軍の義昭よしあきを自己の国土に引き取って養い、中央には
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「かたちは、さもあれ、名分めいぶんの上においてはだ。あくまで、わが足利家は新田を誅伐ちゅうばつするものと世上へとなえろ。——和氏かずうじからも、その義貞弾劾の件は、聞いたであろうが」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
名分めいぶんはそれだったが、彼の意中には、べつに何か後日ごじつのための目的があったのかも分らない。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)