台命たいめい)” の例文
この年昇進して鎌倉光明寺こうみょうじに移るべき台命たいめいを受け、江戸に来って三日の後俄に病んで寂したという。大槻磐渓がその『詩鈔』の自叙に
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
用ゆべし越前には少身の由萬端行屆まじお手前達てまへたちに於て宜く心付致さるべしとの御意ぎよいなれば越前守は願の通り再吟味の台命たいめい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
台命たいめいを論議する言であるというので、家光の不興は甚しい。一言も下さずに奥へ立った後を、夜半に及ぶまで宗矩は端然と黙坐したまま退かない。
島原の乱 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
今般長州征伐の件で格別の台命たいめいをこうむり病中を押して上京することになった、その上で西国筋へ出陣にも及ばねばならないということから始めて
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下ノ関で外国の船艦に発砲したからとかいそうなものであるに、ソンな事は一言いちごん半句もわないで、イヤどうも京都に暴れ込んだとか、あるいは勅命にもと台命たいめいそむ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
台命たいめいなるまま七十余日、お預り申しおいたが、これも何かの御縁でやあろう。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さても大岡越前守には三人の公用こうよう人を呼出され今日より天一坊吟味の儀越前が心任こゝろまかせとの台命たいめい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
申上ければ吉宗公上意じやういに忠右衞門は政事せいじわたくしなく天晴あつぱれ器量きりやうある者なり早々さう/\呼出すべしとの事故に台命たいめいおもむきを御老中に申たつしける是に依て御月番おつきばんより御召出おめしいだし御奉書ごほうしよ勢州山田へ飛脚ひきやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)