叔斉しゅくせい)” の例文
旧字:叔齊
してみると屈原よりも、漁父の方に達見がある。またかの伯夷はくい叔斉しゅくせいは、天下が周の世となるや、首陽山に隠れ、わらびを採って食った。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
後、殷の紂王ちゅうおう、悪虐のかぎりを尽し、ついに武王立って、これを伐つも、なお伯夷はくい叔斉しゅくせいは馬をひかえて諫めておる。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
話を聞けば耳が汚れると塩梅あんばい式は、丸で今世の伯夷はくい叔斉しゅくせい、静岡はあたかも明治初年の首陽山しゅようざんであったのは凄まじい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
古来、野の賢者として名高いのは、伯夷はくい叔斉しゅくせい虞仲ぐちゅう夷逸いいつ朱張しゅちょう柳下恵りゅうかけい少連しょうれんなどであるが、先師はいわれた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
首陽山にを採るは伯夷はくい叔斉しゅくせいが生活を保たんがためなり。箪食飄飲たんしひょういん顔回がんかいが生活を保たんがためなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
伯夷はくい叔斉しゅくせいは人の旧悪を永く根にもつことがなかった。だから人に怨まれることがほとんどなかったのだ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
この間まで丸で朝鮮人見たような奴が、恐ろしい権幕をもって呉れる物を刎返はねかえして、伯夷はくい叔斉しゅくせいのような高潔の士人に変化へんかしたとは、何と激変ではあるまいか。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
僕は右にげた二の例に接した時、ただちに心に浮んだことは伯夷はくい叔斉しゅくせいの話である。
真の愛国心 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「弟。おまえは、古人いにしえ伯夷はくい叔斉しゅくせいをどう思うね」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ソレも理窟の分らぬ小輩ならばもとよりよろしいが、争論の発起人でしきりに忠義論を唱えて伯夷はくい叔斉しゅくせいを気取り、又はそのみずから脱走して世の中を騒がした人達の気が知れない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
伯夷はくい叔斉しゅくせいはどういう人でございましょう。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「それはお前の思いちがいじゃ。もし仁者の言が必ず信ぜられるものなら、伯夷はくい叔斉しゅくせいが餓死することも無かったろうし、また、智者の説くところが必ず行われるものなら、王子比干おうしひかんが虐殺されることもなかったろう。」
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)