しゅつ)” の例文
加藤式部少輔明成は、父嘉明よしあきしゅつ家督かとくをついでから九年目になる、評判のよろしくないこの人は、四十万石の家中かちゅう河村権七かわむらごんしち堀主水ほりもんどかといわれたほどの名臣、主水を憎んでいた。
討たせてやらぬ敵討 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
真宗崩じて後、其きさきにくしみを受け、ほしいままに永定陵を改めたるによって罪をこうむり、且つ宦官かんがん雷允恭らいいんきょうと交通したるを論ぜられ、崖州に遠謫えんたくせられ、数年にして道州にうつされ、致仕して光州に居りてしゅつした。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかしこれは現実でなく、夢に現れた厲鬼であるが、晋侯は間もなくんで、二豎子にじゅし(疾病の神)を夢み、所もあろうにかわやにおちてしゅつしたのを見ると、夢中の厲鬼がたたりをなしたと解するのほかはない。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)