半分はんぶ)” の例文
その一枚が何かの拍子に半分はんぶから折れて、茎を去る五寸ばかりの所で、急に鋭く下ったのが、代助には見苦しく見えた。代助ははさみを持って縁に出た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小野さんは右の手で洋服の膝をこすり始めた。しばらくは二人とも無言である。心なき灯火ともしびが双方を半分はんぶずつ照らす。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
光沢つやのある髪で湿しめっぽくし付けられていた空気が、弾力でふくれ上がると、枕の位置が畳の上でちょっと廻った。同時に駱駝らくだ膝掛ひざかけり落ちながら、裏を返して半分はんぶに折れる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
寝台ベツドの上にいた蒲団を見ると真白まつしろである。うへへ掛けるものも真白まつしろである。それを半分はんぶはすぐつて、すその方があつく見える所を、ける様に、女は窓をにして腰を掛けた。足はゆかに届かない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其一枚が何かの拍子に半分はんぶから折れて、くきを去る五寸ばかりところで、急にするどさがつたのが、代助には見苦しく見えた。代助ははさみつて椽に出た。さうして其んだ手前てまへから、つて棄てた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)