)” の例文
矢立を差してるなら此処へ出しねえ………斯う十文字にして、てめえの根性は曲ってるからまた……斯う三角なものをって置いて遣る
こう云って、涙にうるむ男の顔を横目で見ながら、かまわずって行った。また我慢づよい者がグッと胆を据えて、眉一つしかめず怺えて居ると
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その助五郎が明治湯めいじゆの流し場に大胡座おおあぐらをかいて、二の腕へった自慢の天狗の面を豆絞まめしぼりで擦りながら、さっきから兎のように聞き耳を立てているんだから事は穏かでない。
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
亥太郎は少しも恐れないで「早くっておんねえ」などと云い、脊中に猪の刺青がってあり、悪々にく/\しいからぴしーり/\とちます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大工の卯太郎うたろううさぎの刺青をれば牛右衞門うしえもんは牛を刺り、寅右衞門とらえもんは虎を刺り、皆紅差べにざしの錦絵にしきえのような刺青を刺り、亥太郎は猪の刺青を刺りましたが、此の亥太郎は十二人のうちでも一番強く
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)