うぶ)” の例文
その画室がしつなかほどに、煙草盆たばこぼんをはさんで、春信はるのぶとおせんとが対座たいざしていた。おせんのうぶこころは、春信はるのぶ言葉ことばにためらいをせているのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「成る程……それなら御無理もないかも知れませんね……。うぶなお嬢さんは何となく結婚を怖がられるものですから」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのころは自分もまだ一向うぶである若い書生肌の男と一緒に東京へ出て来た。うちは田舎で百姓をしている。その男が意気地いくじがなかったので、長い間苦労をさせられた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
まるで別な、うぶな、素直な子供でもいったような無邪気な明るい声だったから。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
お島はうぶらしく顔の赤くなるのを覚えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)