出師すいし)” の例文
出師すいしの不在中孔明を誹謗ひぼうしたり、根もない流説を触れまわったりしていた悪質の者数人は前から分っていたのですぐ拉致らっちされて来た。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、一同ついの鼠いろの木綿袷もめんあわせに浅黄の袴、足半あしなかという古式の脚絆きゃはんをはいているところ、今や出師すいしの鹿島立ちとも見るべき仰々ぎょうぎょうしさ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
さてその頃は、征清せいしん出師すいしありし頃、折はあたかも予備後備に対する召集令の発表されし折なりし。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三国の時代の有名な諸葛孔明しょかつこうめいでございますが、御承知の通り、諸葛孔明様の有名な出師すいしひょうの中に
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
蜀の出師すいしは国を傾けてくるの概ありと知ったからである。加うるに孔明の名は、いまや魏にとっても、聞くだに戦慄の生じるものであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呉の出師すいしは思いどおり実現された。孔明はあらためて孫権にいとまを告げ、その日、すこし遅れて一艘の軍船に身を託していた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、ひとり後主劉禅りゅうぜんの憂いに止まらず、出師すいしの表によって掲げられた孔明の「北伐の断行」は、俄然、蜀の廟堂びょうどうに大きな不安を抱かしめた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相剋そうこくし、内争し、相疑えば、かならず曹操に乗ぜられん。——またこのたびの出師すいしにその戦端を陸地くがちから選ぶは不利。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出師すいしのご発議、われらに於てもしかるべく存じます。劉表、張繍とても、先ごろ手痛く攻撃された後のこと、軽々しく兵をおこして参ろうとは思われません。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちかく出師すいしせんとする柴田しばたがたの滝川征伐せいばつ、その兵を糾合きゅうごうする諸大名しょだいみょうへの檄文げきぶんであるらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久しぶりに籠居ろうきょを離れて、朝へ上ると、彼は直ちに、闕下けっかに伏して、出師すいしの表を奉った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「予もそう考えていたところだ。諸卿よろしく出師すいしの準備にかかれ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さきに張苞ちょうほううしない、いままた、関興のに接して、孔明の落胆はいうまでもないことだが、その嘆きはかえって、この時の第六次出師すいしの雄図をしてさらにさらに、愁壮しゅうそうなものとしたことも疑われない。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出師すいしの準備中に)
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)