凍傷しもやけ)” の例文
そのうちに十日ばかりも経つと、凍傷しもやけの方が思ったよりも軽く済んだし、針金のあとも切れ切れになってお化粧で隠れる位に薄れて来たの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なるほど、青味がかった汚点しみのようなものが目につく。しかし、彼は、それが凍傷しもやけの始まりだといい張った。どうせ、にらまれているんだ。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
頬に刺青いれずみか何んかあるが、右の耳朶みゝたぶ凍傷しもやけの跡があつて、左の手の小指が子供の時の怪我で曲つて居ますだ。誰が何んと言つても、伜の文三に間違ひはありましねえ
風邪薬かざぐすりを一ちょう凍傷しもやけ膏薬こうやく一貝ひとかい買ひに行つた話は聞かぬが、春のあけぼの、秋の暮、夕顔の咲けるほど、ほだゆる時、夜中にフト目のむる折など、町中まちなかめて芬々ぷんぷんにお
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かじけ萎びて、硬ばつたり龜裂したりして居た人の皮膚は、輭らぎ潤ひて生氣を増し、瑞々しく若くなつて、ひゞ凍傷しもやけなども治り、筋肉は緊張し、血量は増加したるが如く見える。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「まあ、この腕! 凍傷しもやけの跡だらけだよ」
いたすにも、足の凍傷しもやけで難儀しますの。
息子は御用聞きをして手足を凍傷しもやけにし
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
凍傷しもやけの薬を売ってお歩行あるきなさりはしまいし、人。」
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)