つめと)” の例文
取縋とりすがる松の枝の、海を分けて、種々いろいろの波の調べのかかるのも、人が縋れば根が揺れて、攀上よじのぼったあえぎもまぬに、汗をつめとうする風が絶えぬ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女「お茶はつめとうございますが、ナニ沢山買って下さらないでも、潰れただけの代を下さればようございます」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……広い廊下は、霜のようにつめとうして、虚空蔵の森をうけて寂然じゃくねんとしていた。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其のもすそるゝばかり、すツくと枕許に突立つったつた、私は貝を磨いたやうな、足の指を寝ながら見て呼吸いきを殺した、顔もつめとうなるまでに、の内をくまなく濁つた水晶に化し了するのは蝋燭の鬼火である。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)